匂いの刺激は、視覚や聴覚よりも脳への到達速度が速いため香りでイライラする気持ちを落ち着かせることは、手軽で簡単なリラックス方法の一つです。
そわそわした気持ちを落ち着かせたい時やストレスなどでイライラしている時に使う香りには「ラベンダー」の精油が有名ですが、その他のアロマオイル(精油)にもストレスを軽減したりリラックスできる鎮静作用がありますよ。
またそれぞれ精油には特性があるので、自分が好きで使っている精油の中には落ち着ける作用とは逆に交感神経に働き覚醒作用を促す香りを使っている場合もあるかもしれません!
この記事では、アロマオイルの香りを上手く利用し気持ちを落ち着けたり、イライラを抑えてリラックスできるような精油をご紹介していきます!
アロマテラピー検定1級を持つ私が詳しくご紹介していきます ね♪
イライラする気持ちや感情に作用する、香りについて
アロマオイルのような匂いを持つアイテムにはどんな効果があるのでしょうか?
まずは、香りが人間にどんな作用を施すのかご紹介しますね。
香りが人間の脳にどのように作用するか
香りは鼻から嗅神経(きゅうしんけい)を通り、嗅覚刺激として脳へ情報が送られます。
香りの情報は脳の中の、大脳辺縁系や視床、視床下部などを通るため、食欲・生殖欲・睡眠欲などの本能的な行動や記憶、快・不快や喜怒哀楽などの情動が香りの影響を強く受けます。
⇒その他の視覚・聴覚・味覚・触覚は、知性や理性に関わる大脳新皮質という部分を経由するが、嗅覚だけがダイレクトに本能の部分に伝わります!
大脳辺縁系は記憶や感情に関係するので、「匂い」と「記憶」は影響が強いです。
良い記憶を蘇らせる甘酸っぱい青春の香りなら良いですが、悲しい過去を思い出す匂いがあれば、あらかじめ注意して避けることもできますよね。
また、視床下部に伝えられることで、ホルモンの分泌や内臓の働き、自律神経系(交感神経・副交感神経)、免疫力の向上などへも影響を与えられると考えられています。
しかし、香りはすべてリラックスさせるものばかりではありません!
香りの成分の中には交感神経に作用するものもあり、集中力を高めたり、覚醒を促す働きを持つ香りもあります。
(睡眠前は逆効果に!)
それぞれの香りの作用を知り、精油をシーンで使い分けたり分量を守ることが大切ですよ。
香りが脳に伝わる速度は速い
歯痛や身体の深部の痛みが脳に伝わるまでの時間が0.9秒もしくはそれ以上であるのに対し、香りの刺激が伝わるまでは0.2秒以下と言われています。
嗅覚の刺激だけが大脳新皮質を通さず、大脳辺縁系に直接伝わっているため、一瞬で香りの刺激から、快・不快などの気分に作用するということなんですよね。
人間は匂いをかぐと、考えるよりも先に、香りの影響を受け感情が動いてしまうと言えますよ!
この作用を見ると、イライラした時にはまずは香りを嗅いで感情を落ち着かせる、という方法も手軽で即効性がありそうですよね。
脳波(α波)にも影響する香りについて
コーヒーの香り
α波は脳がリラックスした状態の時に後頭葉で多く見られる波形です。
コーヒーの香りもリラックスさせる効果があると言われており、コーヒーの中でも「ブルーマウンテン」や「グアテマラ」の2種類はα波を増やしますが、他の種類はあまりα波が見られなかったと言われています。
コーヒーの種類によってリラックスを促したり、脳を覚醒させるものがあるので飲むタイミングなどに少し注意が必要です。
たばこの香り
また、イライラする時に煙草を吸う人も多いかと思いますが、たばこの匂いはα波を減らしてしまう作用があるので、香りの面からはリラックスとは逆効果になっています!
煙草を吸うことで一時的にニコチンの作用で脳からドーパミン(快感や快楽をもたらす)が放出されますが、ドーパミンの過剰放出により、α波は低下します。
そして、ニコチンが欠乏すると、再びその快楽を求めて吸いたくなる・・・ここに中毒になる仕組みがあります。
煙草を吸う一時のみは落ち着く気持ちになりますが、実際は禁煙者よりもリラックスはできていない状態ですよ。
さらに、周りでたばこの煙を吸っている人に対してもリラックス状態を妨げてしまうので吸う時は周りにご注意下さい・・・
このように食べ物や室内の香りで脳への影響、脳派も変わってくるので、イライラして気持ちが落ち着かなかったり、眠れなくて悩んでいる方はアロマを利用して香りにこだわった快適な環境を作ってみるのも良いかもしれません。
イライラする気持ちを抑えたい時に使いたい香り
このように香りには即効性があり、イライラした気持ちを落ち着けるには手軽な方法となります。
ここでは、どんな香りがイライラする気持ちを抑えるのに適しているのかご紹介していきますね。
作用からおすすめの精油をご紹介していますが、香りは直接快・不快の感情へ影響します。
それぞれの特性と合わせて、自分の好きな香りで選ぶことも重要になりますよ。
イライラする気持ちを抑える香り①【サンダルウッド】
サンダルウッドは、心を鎮静させる作用に優れています。
頭に上り過ぎたエネルギーを下げてバランスを取る、グラウディングに役立つ香りとされていますよ。
(瞑想に向いている)
<生活の木の参考価格:2200円~>
イライラする気持ちを抑える香り②【 フランキンセンス】
フランキンセンスは精神を高揚させ、恍惚感をもたらすと同時に、深く心を静めてくれ、瞑想状態に導く香りです。
上下にゆれる気持ちをおさめて落ち着かせる香りであり、急なパニックになったとき吸入するとよいと言われていますよ。
※プチグレン、ラベンダー、ネロリ、マンダリン、ローズと合わせると抗不安、抗ストレス作用に優れたブレンドになる。
<生活の木の参考価格:990円~>
イライラする気持ちを抑える香り③【ラベンダー】
ラベンダーは落ち着きのなさ、イライラを感じている時に、心を鎮めて緊張を和らげる効果があります。
心・体・感情・精神の全てのバランスをとる香りで、鎮痛作用もあり、身体の痛みを和らげる作用も持っています。
※ベルガモット、ネロリとのブレンドはパニックやヒステリーなど心の緊急時に役立つ。
<生活の木の参考価格:660円~>
イライラする気持ちを抑える香り④【 ネロリ】
ネロリはストレスやイライラ、抑圧された感情を表現して気持ちを整理し、安らぎを取り戻し、安心感や慰めを与えてくれます。
自律神経の調整作用があり、心身の不調や緊張性の発汗や吐き気、口の渇きがある時に役立ちますよ。
繊細で感受性の鋭い人にも向いている香りです。
<生活の木の参考価格:3300円~>
イライラする気持ちを抑える香り⑤【イランイラン】
イランイランはストレス性の不整脈や動悸を鎮め、血圧を下げる作用があります。
緊張が手放せない時や過剰に誰かを批判してしまう時、心穏やかに自分を受け入れる気持ちを持ちたい時に役立つ香りですよ。
<生活の木の参考価格:660円~>
では次に、睡眠前やリラックスしたい時に使いたい香りについてもご紹介していきますね。
睡眠時やリラックスしたい時に使いたい香り
ではここでは睡眠前やリラックスしたい時に使いたい香りについて詳しく解説していきますね。
睡眠時やリラックスしたい時の香り①【ラベンダー】
ラベンダーは落ち着きのなさ、イライラを感じている時に、心を鎮めて緊張を和らげる効果があります。
心・体・感情・精神の全てのバランスをとる香りで、鎮痛作用もあり、身体の痛みを和らげる作用も持ちますよ
※ベルガモット、ネロリとのブレンドはパニックやヒステリーなど心の緊急時に役立つ。
睡眠時やリラックスしたい時の香り②【 オレンジ・スイート】
オレンジ・スイートはほっとくつろいで安眠したい夜に役立つ香りです。
心を開き、前向きで元気な気持ちにしてくれますよ。
<生活の木の参考価格:660円~>
睡眠時やリラックスしたい時の香り③【スイートマージョラム】
スイートマージョラムは副交感神経の働きを優位にして、自律神経系のバランスを調整する作用があります。
精神疲労や無気力感に役立つ香りとされていますよ。
※興奮や神経過敏で眠れない時にイランイラン、ラベンダー、ネロリ、オレンジなどと一緒にほんのり香らせるのが良い。
<生活の木の参考価格:660円~>
このように状況に応じたアロマオイルがあるのですが、気持ちを落ち着かせるためには環境作りが重要です。
では次に、実際にどのようにこの香りを利用してリラックスした空間を作っていくのかご紹介しますね。
気持ちが落ち着くような香りの空間を作る方法は?
「香りを使う」と言えばアロマテラピーをイメージする方も多いと思いますが、アロマテラピーは、精油を用いた自然療法のことを言います。
アロマテラピーとは、植物の香りを楽しみ、豊かな生活のために活用することです。植物の香りは、心地良く、心や身体に働きかける力があり、リラクセーションやリフレッシュ、さらには美や健康管理に役立てることができます。
アロマテラピーでは、植物の香りとして精油(エッセンシャルオイル)を用います。
出典元:公益社団法人 日本アロマ環境協会(2018)『アロマテラピー検定 公式テキスト1級』公益社団法人 日本アロマ環境協会(p11) より
精油を使ったアロマテラピーでは、香りを嗅ぐだけでなく、トリートメントなどとして皮膚へ塗布して使うこともできますよ。
皮膚から浸透させることで様々な効果も期待されますが、精油の原液を直接肌につけるのは危険であり、用途によりそれぞれ希釈濃度が異なります。
ここでは簡単に香りを生活に取り入れられるように、芳香浴(精油を拡散して香りを楽しみながら心と体を整える方法)にて香りを利用する方法についてご紹介しますね。
香りを利用して簡単に気持ちを落ち着ける方法
ちょっとしたストレスを感じた時、焦ってパニックになりそうな時などに、手元に精油があれば簡単に行える方法です。
ティッシュペーパーやハンカチを使う
ティッシュペーパーやハンカチ、コットンなどに精油を1~2滴垂らす。
香らせたい場所に置く。
※ハンカチなどはシミになる場合があるので注意する。
お湯に垂らす
マグカップやボウルなどの耐熱容器に熱湯をはり、そこに精油を1~2滴垂らす。
※精油を入れたお湯は飲まないように!
また、やけどに注意が必要。
専用のグッズを使用して気持ちを落ち着ける方法
少し時間をかけて、じっくりと気持ちを落ち着けたい時はグッズを利用すると便利です。
精油を染み込ませて使う物
陶器製(素焼き)や木製でできた精油を染み込ませて使う専用のアロマグッズを使用する。
精油を1~2滴染み込ませ、香らせたい場所に置くだけ、狭い範囲に適している。
電気式の物
電熱を利用し、火は使わないもの。
アロマライトやアロマポットなど呼ばれるもの。
ディフューザー(そのほかの電気式)
超音波による振動で発生させた水蒸気(ミスト)とともに香りを広げるタイプや内臓されたファン(羽根)を回して風で香りを広げるタイプなどある。
キャンドル式の物
水をはった上の皿に精油を落とし、キャンドルの熱で温め、水分の蒸発とともに香りを拡散させる。
オイルウォーマー、オイルバーナー、アロマポットなどと呼ばれる。
これらのグッズは自分の好みの見た目でインテリアの一つとして楽しんだり、水や火を使うので自分の部屋の環境に合わせて選んでみて下さい。
手作りグッズで気持ちを落ち着かせる方法
精油を使ってルームスプレーを作る
ルームスプレーを作っておくと、いつでもどこでも必要な時に吹きかける事で香りが広げられる。
リラックス用だけでなく、除菌や消臭など幅広く使えるメリットがある。
イライラする気持ちを抑える香りは何が良い?おすすめ精油を紹介!のまとめ
この記事では、香りが人間にどのように作用するのか、またイライラする時やリラックスしたい時におすすめのアロマオイルについて、香りを使った空間作りについてご紹介しました。
香りは大脳辺縁系に直接作用するため、上手く利用すると緊急時の感情や精神面のコントロールに役に立つことがおわかりかと思います。
特に”そわそわと気持ちが落ち着かない時”や”イライラが収まらない時”などはリラックスし心を落ち着かせる作用の持つ精油を利用し、芳香浴などで心を整えてみることも良いのではないでしょうか?
【イライラする気持ちを抑えたい時のおすすめ精油】
- サンダルウッド
- フランキンセンス
- ラベンダー
- ネロリ
- イランイラン
【睡眠時やリラックスしたい時に使いたいおすすめ精油】
- ラベンダー
- オレンジ・スイート
- スイートマージョラム
そして、精油を使った芳香浴法には、
●簡単に行える方法
- ティッシュペーパーやハンカチ、コットンを使う
- お湯に垂らす
●専用のグッズを使用する方法
- 陶器製(素焼き)や木製でできた精油を染み込ませて使う専用のアロマグッズ
- 電気式のアロマライトやアロマポット
- ディフューザー
- キャンドル式のオイルウォーマー、オイルバーナー
- ルームスプレーを作る
- カートリッジ式のEasy Aroma(イージーアロマ)
など様々な方法で香りを楽しむ事ができます。
単品や少量での芳香浴や様々な精油をブレンドしてルームスプレーを作成してみたり、好きな方法で香りを楽しんでみて下さいね!
※アロマオイル(精油)は安くて品質が悪いものはおすすめできません!
品質も安心でき、お手頃な価格で多種類の精油が欲しいという方は『なごみアロマ』の精油がおすすめです。
『なごみアロマ』の 各10ml×8本お試しセット(⇩)の選べる精油の中に、今回ご紹介した「ラベンダー、オレンジ・スイート、イランイラン、プチグレン、マンダリン、ベルガモット」が含まれています。
アロマ ルイボスnaturalshopなごみ参考文献:
① 公益社団法人 日本アロマ環境協会『アロマテラピー検定 公式テキスト1級』公益社団法人 日本アロマ環境協会(2018)
② 和田文緒『いちばん詳しくて、わかりやすい!アロマテラピーの教科書』新星出版社,(2008)