ちょっとした事でイライラしたり、カッとなり怒ってしまい後から落ち込んだり・・・そんな『怒り』に振り回されてしまうことはありませんか?
特に正義感からくる怒りは、自分が正しいと思い込み、正義の名の元に怒りを肯定してしまうので自分で抑えることができませんよね?
そして一時の怒りが原因で、その後の人間関係を悪化させてしまう可能性もあります。
私は適応障害と診断されていた時、怒りの閾値が低く、また一度怒り出すとなかなか怒りが治まらない状態でした。
そして怒った後はとても疲れ、なりふり構わず怒ってしまった自分に対し自己嫌悪で落ち込む事を繰り返していました・・・
怒りの感情はなくなるものではなく、我慢すると溜まってしまいます。
怒りやすい自分に嫌気がさす、怒った後に後悔を感じる事が多い方は、怒りを発散する前に、上手に怒りの感情をコントロールしてはいかがでしょうか?
この記事では、私が適応障害からメンタルを回復させてきた時に行った、怒りが起こらない状態を作る方法や怒りの対処法など上手く怒りの感情をコントロールする方法をご紹介していきます。
心穏やかな怒らない人を目指していきましょう!
怒らない人になる必要はある?怒りのデメリット
たとえ正義感からくる怒りであっても怒ることでのデメリットはたくさんあります。
怒りは人間関係を悪化させるだけでなく、自分の身体を壊してしまう可能性があるんですよ。
また、怒ることで相手との関係性が悪くなることも想像しやすいかと思います。
怒った人はすっきりしているかもしれませんが、怒られた人はその理由が納得いくものでない場合、とても深い傷となり恨みとして残ります。
その後の関係の修復にはとてもエネルギーが必要になりますよね。
また、怒りを発散してスッキリしているように見えても、怒りの感情は実はものすごいエネルギーを使います。
実際には、血圧が上昇し心臓への負荷がかかり、頭には血が上り、より冷静さを失うなど体にも影響しているんです。
そして、その怒りの根源にある本当の心の問題は、怒りでは解決できず周囲との隔たりが生じるだけです。
<怒りのデメリット>
- 人間関係を悪化させてしまうリスクがある
- 自分の心身にネガティブな影響を及ぼすリスクがある
怒らない人になるために、正義感からくる怒りについて知る
怒り自体はそもそも悪い感情ではない
怒りは、「防衛感情」の一つであり、何かを守るためにある感情です。
そして、自然に備わっている感情でもあり、怒りの感情は動物として生きる上で必要な感情の一つでもあります。
生き物は天敵と出会った時に、自分の命を守るため、“闘う”か“逃げる”か、を選択します。
その時、私たちの体は臨戦態勢に入ります。
この臨戦態勢をとるために怒りの感情を使っているんです。
怒りの感情により、アドレナリンという闘争ホルモンが分泌され心臓の鼓動を速めて全身に血液を巡らせ、筋肉を緊張させ、闘いや逃走に対応できるように準備をします。
このように怒りは、自らの命を守るための仕組みとして備わっているんですね。
正義感が強いという事は、守りたいものが多い人
しかし、現在は命の危機を感じることは日常生活の中でほぼありません。
私たちが今、守りたいものは、『自分の大切なもの』ですよね。
自分の大切なものとは、価値観、考え方、立場、主義主張、家族、友人、財産などになります。
例えば自分の意見が否定された時、私たちは「自分の考え方を攻撃された」と思い、その考え方を守りたいので怒りが湧きます。
また直接否定されていなくても、自分の価値観を否定する行為を見た時も、自分への攻撃をとらえてしまうんです。
(自分はマナーを守っているのに、相手は守っていない場面など)
一見怒っている人は先制攻撃として誰かを攻撃しているように見えますが、実は先に自分に対する危険を感じて、自分の大切なものを守るために怒っているのです。
(自己防衛のために攻撃している)
これらから分かることは「正義感が強い人は、守りたいものが多い人」と言えますよね。
私も育ってきた中で「規則やルールを守ることが善」と教えられてきたので正義感は強く、他人の規則・ルール違反には敏感です。
自分の信じている世界を攻撃されているように感じて、知らない相手でも目の前でマナー違反をしていると怒りを感じていました。
正義の注意点~実は正義はあいまいなもの~
人の倫理・道徳観を問うトロッコ問題
今から2つ質問をします。答えを考えてから読み進めて下さいね。
(質問A)
制御不能になったトロッコが暴走しています。
まっすぐ行くと線路上に5人の作業員がいるので、そのままだと5人を轢いてしまいます。
今、あなたは線路の切り替えスイッチの前にいて、あなたが切り替えスイッチを使うとトロッコは右へそれ、一人の作業員の方へ方向を変えます。
そうすると、5人の作業員は助かりますが、1人の作業員が犠牲となってしまいます。
あなたは切り替えスイッチを動かしますか?
あなたは、何もしないか、切り替えスイッチを動かすかの2択しか選べません。
答えを選択して次の質問に答えて下さい。
(質問B)
先ほどと同じように、制御不能のトロッコが暴走しており、まっすぐ行くと5人の作業員が轢かれてしまいます。
ただ、この5人は凶悪な犯罪者です。
そしてあなたは同じように切り替えスイッチの前に立っています。
切り替えた先は1人の作業員がおり、その作業員はあなたの大切な家族です。
あなたは、何もしないか、切り替えスイッチを動かしますか?どちらを選びますか?
このような問題を出されると、Aでは命の重さを平等と考え、人数の少ない犠牲を選ぶ場合が多いのですが、Bの場合は1人を助ける場合が多くなります。
その場合、5人の命よりも自分の大切な家族の命の方が大事になるからです。
特に5人が犯罪者であれば自分の罪悪感も少なくなります。
しかし実際は「5人を助けるのか、1人を助けるのか?」という問題であり作業員の素性は関係ないんですよね。
つまり『条件を変えると人の正義というものは簡単に変わってしまうもの』といえます。
また、立場によっても正義は変わります。
『正義』とは正しさであったり、ゆるぎないものであったりと清廉潔白なイメージがありますが、実はこんなにも曖昧なものなんですよね・・・
「自分が正しい!と思い込んでいる正義は、違う立場や条件で見ると真逆の場合もある」ということを覚えておいて下さいね。
正義感が強い人は、自分の守りたいものが多い人とも言える
しかし正義感は、条件や立場で変わってくる「あいまい」なものでもある
怒らない人になるために知っておくこと
怒りの特性を知る
怒りは持ち運びができる
怒りというものは「持ち運ぶ」ことができます。
つまり怒りは生まれた場所で完結するものではなく、持ち続けようと思うと、どこにでも持って行き、また怒りの矛先を変えてどこにでも向けて放つことができるんです。
例:朝、家で夫婦喧嘩をしたイライラを会社に持って行って、たまたまミスした部下をひどく叱るなど。
怒りを持続して持ち歩かないように、気分を切り替えられるスイッチ(自分なりに見たら癒される写真や気分が上がる音楽など)を用意しておくと良いですよね!
怒りは生まれやすい状態がある
自分のマイナス感情が多い時やマイナスな状態である時に、怒りは生まれやすくなります。
マイナス感情が多い時:不安・つらい・悲しい・苦しい・寂しい・孤独感・罪悪感などのネガティブな感情
マイナス状態:疲れている時・睡眠不足・ストレスが溜まっている時・空腹時・体調が悪い時など
同じ出来事に遭遇しても、マイナス感情やマイナス状態の時には怒りが生まれやすくなるものですよね。
(例)
A:家族と喧嘩した後、空腹状態で友達が約束時間より遅刻してきた時
B:朝から美味しいご飯を食べ、両親に褒めてもらう出来事があり、その後友達が約束に遅刻してきた時
どちらがより頭にくるか、すぐお分かりかと思います。
このように怒りが生じやすい状態というものがあるんです。
怒りの発散方法を間違えない
よくストレス発散に”やけ食い”、”やけ酒”、または”人に八つ当たり”をする場合もあるかと思いますが、それはその後マイナスな結果になるため建設的な解決法ではありません。
また、怒りを出さずにため込み過ぎてもストレスで体調を崩してしまいます。
怒りは適正に対処していく事が自分のためでもあるんですよ。
無駄に怒りを生まない状態を作る
怒りは自分の大切なものを守るために生じるものでもあります。
自分の価値観や考え方などを特に大切にしている人に多いのが、「~すべき」という厳しい制限を持つ考え方です。
この「~すべき」を減らすと怒りが生まれにくくなりますよ。
「~すべき」という考えを「~した方がいいかもね」という風に言い換えて使うだけでも今までの厳しい制限に対する許容範囲が広がっていきます。
またマイナス感情・マイナス状態を作り出さないということも大切なんです。
自分が今ネガティブになっていないか、健康状態などの把握など、自分自身に対して意識を向けることも大切にしていきましょう!
<怒らない人になるために、怒りの特性を知る>
- 普段から怒りの感情を生まない健康な心身の状態を作るように意識しておく
- 怒りが湧いた後、引きずらないように切り替えられるものを用意する
- 自分の価値観や考え方を見直し、許容範囲を広げておく
「社会のために」という正義感からくる怒りの対処法
「社会のために」と思った怒りで自分を苦しめないために私憤と公憤を分ける
怒りの中に、私的に怒っている私憤(しふん)と、公共の正義の立場から生じる公憤(こうふん)があります。
公共のために、社会のためにと正義を振りかざして怒っていても、実は間違った正義感からきており公憤になっていない場合もあるんです。
公憤になっているかどうかは、周りの人が共感してくれたり、自分と同じように行動してくれるかどうかで判断ができますよ。
自分の主張にあまり関心も持たれず、理解も得られない場合は公憤とは言えず個人的な怒りであると言えます。
また私憤ではなく公憤となるものの見分け方として「ビッグクエスチョン」という考え方があります。
ビッグクエスチョンとは「自分にとって周りの人にとって長い目で見た時に健康的か?」と考えることです。
公憤は自分のためだけでなく、周りの人のためになることは当然です。
また目先のためだけでなく、長い目で見ることも大切です。
(その場だけスッキリしても後々後悔することがあるかもしれません)
そして、その怒りによって自分にとって不利益を被るのであれば不健康でもあります。
自分の怒りが私的なものであるにも関わらず、社会のためにと正義感を燃やしていても何一つプラスにはなりませんので、ビッグクエスチョンを自分に問いかけてみて下さいね。
正義感の名のもとに怒りを発散している人の特徴
ネット上やSNSなどでは、自分の中の過剰な正義感から無意識に誹謗中傷をする場合がありますよね。
自分の中の正義感が暴走していることに気づかず、誰かを傷つけてしまっているんです・・・
ただこのような正義感を暴走させて怒りにかられてしまう人は、普段自分の心の中に悩みや不満など闇を抱えていることが多いと思います。
自分の居場所や、受け入れられている・認められているなどの安心感がないためにそのような居場所を探し、誰かに見てもらいたい・承認してもらいたいと思っていることが多いですよね。
その場合、まず自分を見つめ直し自分を受け入れて認めることが必要で、自分の存在に安心感を感じられれば、周囲への過剰な怒りを鎮めることができるのではないでしょうか?
正義感は人それぞれ違うと理解する
正義感のもとにもなる「~すべき」という思想は、私たちが生まれて育ってきた経験や学習の中で作られていきます。
特に幼少期頃は『親の言っている事はすべて正しい』と自分の中に深く刻み込まれているものなんです。
徐々に社会を知り、様々な経験を通じて今まで信じてきていたものが違っていたり、ズレていたことに気づく場合があります。
また、自分の正しいと信じてきたものが自分を苦しめていたことに気づく場合もありますよね。
「子供は親の言うことを聞くべき」など
正義感はみんなが生まれ育った環境によって違う、ということを理解しておくと怒りのコントロールもしやすくなります!
広い社会を見ると、親に対等に意見が言える関係もありますよね。
自分の信じてきたものは各家庭によっても違います。
手放す方が良い正義感を見極める
人よりも強い正義感は、怒りの感情に繋がりやすいです。
生きていく上で、自分を苦しめてしまうような過剰な正義感は、手放すか緩める必要があります。
例:コロナ禍でのマスク警察や自粛警察と呼ばれるもの。
普段は自分が非難している側であっても、マスクを忘れて外出してしまったり、家族の不幸で実家にどうしても帰らなければならない時に自分の中の正義と矛盾してしまうことも。
このような自分を苦しめてしまうかもしれない正義感に対して手放す方法は、『自分の力で変えることができるのか/できないのか』、『関わるべきことなのか/関わらない方がいいことなのか』、と考えていきます。
自分の力では変えることが出来ないことや、関わらない方がいいことに対していくら怒りを感じても無駄に時間を使うだけですよね。
ここで知っておいて欲しいのは、自分にはできないことが世の中にはたくさんあるということです。
その中で他人の性格や過去自体は、変えることができません!
ただ過去の出来事に対する解釈は、変えることができます!
また相手の性格を変えることはできませんが、自分の捉え方、考え方や行動は変えることができます。
できることとできないことを見極めて、できることを重点的に取り組むようにしていきましょう。
テレビなどで不愉快なニュースもありますが、ほとんどは自分の手の届かない場所で起きています。
許せない事を許す必要はありませんが、その出来事に対しずっとイライラして腹を立てている状態は不健康になりますよね。
時には、気持ちを割り切ることも必要です。
<正義感からくる怒りの対処法>
- 私憤か公憤かビッグクエスチョンを使って考える
- 正義感の名の元に誹謗中傷してしまう時は自分自身の心を見直す
- 正義感は人それぞれ違うと知っておく
- 手放した方が良い正義感を見極め、手放していく
怒らない人になるための怒りの対処法で大切なこと
アンガーマネジメントの6秒待つ間に考えること
アンガーマネジメント(アンガーコントロール)では、怒りが湧いたら6秒待つと言われています。
6秒待つことで怒りの感情が静まってくるのですが、その時にネガティブなことを考えてしまうといくら待っても治まりません。
怒りの感情を感じたら、冷静に、なぜ怒りを感じるのか自分自身に問いただすことをおすすめします。
自分にはどんな「~すべき」という価値観があるのか、それによって怒りが湧いているのであれば、その制限を緩めるのか、または相手に怒るのではなく、お願いするなど別の方法で対応ができるはずです。
例:喫煙所以外で煙草を吸っている人を見つけて腹が立った。
この時、自分の中では「喫煙所以外では喫煙はすべきではない」とうルールがあり、それを違反しているために怒りが湧いたと認識する。
しかし、相手にとっては「禁煙場所でなければ禁煙しなくてもいい」というルールがあるかもしれないと相手側の立場でも考えてみる。
このように一度相手の立場に立ち物事を考えると、怒って禁止するよりも、まずは喫煙していい場所と知っているのか伺い、自分がたばこの煙が苦手であればお願いしてやめてもらう、という対応もできますよね?
そうすれば相手は快く受け入れてくれるかもしれません。
万が一相手に断られても、自分とルールや価値観が違うので無理に一緒に居なくても良いと、すぐにその場を立ち去り関係を断つと無駄に怒らなくて済みます。
その場から離れることは有効ですよ!
人、物に対する許容範囲を広げておく
正義感が強いということは、ルールや基準に対して厳しい目を持っています。
このルールや基準を守る事は悪いことではありませんし、秩序を保つためには必要なものです。
ただその分、許容範囲は狭く、寛容ではないことが多いですよね。
このような許容範囲の狭い人の特徴には
- 合格点の基準が高い
- 100点か0点かで考える
上のような2つの特徴を持っています。
合格点の基準が高かったり、100点でないと合格ではない、という考え方は他人だけでなく自分も苦しめることになります。
基準をゆるめ、0~100点の間の及第点(最低限のラインを満たしているので合格)を作ると楽になりますよ。
自分にとって本当に大切なものを見つける
他人に振り回されることなく、自分軸で判断することは怒りを対処するためにも大切ですが、実際の私たちは知らない間に世間から埋め込まれた思い込みがたくさんあるんです。
例:高学歴、高収入であるべきという価値観を持っているとそうでない自分を馬鹿にされた時に腹が立つ、など
このような自分が持っていることでステータスとなるようなもの(言い換えるとマウンティングできるもの)や、第三者から評価してもらうものは、手放した方が怒りの感情から楽になれます。
「自分にとって本当に大切なもの」とは、誰からも評価されなくても自分が持っていたいと思えるものです。
『無人島に持って行くとしたら何を持って行くか?』
と考えると高学歴という経歴であったり、お金などは役に立ちません。
自分だけがその価値を大切にできるというものが増えると、人からの評価や社会的な正しさに振り回されることがなくなります。
また他人と比較することもなくなり、嫉妬や妬みなどの感情からも身軽になれますよ。
自分の経歴がどうであれ、人のために約立つスキルを持っていたとすれば、それでいいのではないでしょうか?
<怒りの対処法で大切なこと>
- 怒りを鎮めるための6秒間で何に対して怒りを感じているのか冷静に考えてみる
- 人や物に対して許容範囲を広げておく
- 自分にとって本当に大切なものを見つける
怒らない人になりたい!正義感からくる怒りの対処法を解説!のまとめ
怒りは自然に備わっている感情の一つですが、むやみに怒りを発散してしまうと、人間関係を壊したり、自分の心身を壊すことにも繋がります。
自分の正義感からくる怒りは、そもそも『あいまいな正義』であるということ、自分の守りたい価値観や考え方などが多いということを知っておく必要があります。
また怒りには湧きやすい状態があり、自分で無駄に怒りを生じさせないように注意することもできますよ。
自分の心身の状態を健康に保つことや、人それぞれの正義感・価値観がある事を理解し、自分の厳しい制限を緩めておくこと等で怒りを予防できることもあります。
怒りが生じた時に自分の心の中の動きを考察したり、自分の許容範囲をあらかじめ広げておき、自分の本当に大切なものを見つけておくことが怒りの対処法になります。
ぜひこの記事を参考に、少しでも怒りに振り回されないように意識して過ごしてみて下さいね。